2013年11月3日日曜日

十好習

以前に予告しました十好習を。

十好習ノ事

一、直立タル身ノ位之事(一)
 直立った(つったった)身とは自由のすがたにて、位というになお心あり
  位とは行住坐臥に動静に、直立つものぞ位なりけり

一、高キ構ニ弥高ク 展ビアガリテ仕懸位之事(二)
 高き構えいよいよ高くのびあがり、必ずかならず及びはしすな
  立ちあがる手もとに敵を引よせて、しゅみの一刀両断にせよ

一、懸口イカニモ強、ケタテテ懸事(三)
 懸口いかにもいかにも強くして、足を蹴立ててすらすらとゆけ
  けたてると云うはふだんの足使い、まり(鞠)蹴るごとくあゆむべからず

一、前エ及ビ懸ヨリ可反事(四)
 及ぶより反るのよきとは人ごとに、及ぶものゆえ直さんがため
  及ぶには損(失)あり反るはとく(得ー利)もあり、直し・教えに過不及もあり

一、打込時、拳ニ面ヲ付ベキ事(五)
 打時に拳に面(おもて)そえぬれば、面も反らず拳さがらず
  胸反らず、身と手わかれぬそのときは、多くのとくの有ると知るべし

一、脇ノ下罅(スカ)セバ手太刀展事(六)
 脇の下すかせば太刀も手ものびて、肩もおちつつ胸も反らぬぞ
  敵のあたま、わが脇つぞにおしこめと云える教もこもる習ひぞ

一、太刀ヲ使事、肩カイナ 惣身ヨリ打出ス可事(七)
 拳・肱二つのつがひ無きものと、肩の拍子を惣身より打て
  惣身より打つは手と身とわかれつつ、拳で打つを直さむがため
 
一、小太刀ニテ懸ル時敵早ク打出ス時ハ先ツ合懸ノ心持モ時ニ隨ベキ事(八)
 小太刀にて相架(あいかけ)と云う事は、ただ時に隨ひ忘る可からず
  相架をゆめゆめ恃む事なかれ、恃まぬ中に臨機応変

一、拍子ノ持所太刀之物打之事(九)
 拍子をば太刀の物打ちと心得て、鋒、拳、拍子あらす(荒らす)な
  無拍子の所に拍子持てよとは、拍子たのまぬ拍子なりけり

一、足ハ懸ル時モ退ク時モ 跬々(カタカタ)浮キタル心持之事(十)
 かたかた(片々)の足の浮くとは、あながちにうくるにあらずあゆみなりけり
  懸る時も退く時も、足はただいつかぬように使うべきなり

 右条々口伝在之

 毎人癖アリ 上ノ器用ニモ一、二ハ有之
 其外ハ無窮 身ノ癖 心ノ癖ヲ
 能々見付 第一ノ悪所ヲ
 一宛 直ス可事

 数々の善悪分けし源は、
  身 位(み くらい)ともに直さんがため


以上です。

ではまた。

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